根管治療
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根管治療
根管治療とは
歯の神経にまで到達した重度のむし歯に対して行なう治療です。歯の神経は正式には「歯髄(しずい)」といい、根管とよばれる管状の器官の中に存在しています。この歯髄が細菌に感染すると激しく痛むようになるのです。根管治療では、根管内から感染した歯髄を除去することで痛みを取り除き、むし歯が進行した歯でも抜歯せずに残せるようにします。
マイクロスコープによる精密な治療
根管は直径1mm以下と細いうえに、湾曲したり枝分かれしたりと複雑な形状をしています。しかし感染した歯髄を取り残してしまうと、歯根の先に膿が溜まる病気や痛みが生じるリスクがあるため、注意が必要です。
当院の根管治療では、肉眼のおよそ3~20倍の拡大視野が可能なマイクロスコープを使用し、歯の内部を細かく確認しながら精密に治療を行ないます。マイクロスコープを使用することで感染した歯髄の取り残しを回避できるだけでなく、被せ物の適合も向上させられます。
マイクロスコープを用いた精密根管治療は自費診療になります。
根管治療の流れ
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STEP1
むし歯に侵蝕された歯を削る
根管治療を行なう前に、まずはむし歯に侵蝕された部分の歯を削り取ります。過去に治療した詰め物や被せ物がある場合はそれも削って取り外します。歯質は少しでも残っていたほうが歯の寿命を延ばせるので、健康な歯質を削り過ぎないよう慎重な作業が必要です。
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STEP2
根管内から感染した歯髄を除去し洗浄・消毒
ファイルやリーマーなどの細長い器具を使用し、マイクロスコープの拡大視野下で根管内のむし歯に感染した歯髄を取り除きます。一般的に「神経を抜く」とよばれる処置です。細すぎる根管に対しては拡げる処置を行なったうえで感染した歯髄を徹底的に取り除きます。内部に充填材を詰めやすいよう根管の形状を整える処置も同時に行ないます。
その後、専用の薬剤で根管内を洗浄します。これによって器具では取り切れなかった感染組織や汚染物質も薬剤で溶かしてきれいに取り除けるうえに、消毒効果によって根管内の細菌を無力化できます。 -
STEP3
根管内に充填材を詰める
根管内を徹底的に洗浄・消毒したら、空洞になった根管内に細菌が繁殖しないよう充填材を詰めて密封します。複雑な形状の根管をいかにすき間なく充填できるかが再発を防ぐ重要なポイントとなるため、丁寧に作業を行ないます。
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STEP4
被せ物用の土台(コア)をセットする
根管に詰めた充填材が硬化したら、次に行なうのは歯の修復です。被せ物をするために歯を削って形を整えます。むし歯による歯の侵蝕が大きく、そのままでは被せ物ができない場合には、歯根部を補強する土台(コア)を作製して歯根部にセットします。
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STEP5
被せ物を装着する
歯型をとって被せ物を作製します。根管治療を行なった歯を長く維持するためには被せ物の質が重要です。歯とのすき間から細菌が侵入することのないよう適合性にこだわって作製した被せ物を歯に装着します。噛み合わせの調整を行なったら、治療は完了です。
- 根管治療にともなう一般的なリスク・副作用
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- 機能性を重視する場合は自費(保険適用外)での診療となり、保険診療よりも高額になります。
- 根管治療を行なうと、歯の構造が筒状になるため、歯が破折しやすくなります。
- 再度根管治療を行なうとさらに根管壁が薄くなり、より歯が破折しやすくなりますが、コア(土台)と被せ物を接着力に優れたセメントで接着し、歯・コア・被せ物を一体化させることで、破折のリスクを抑えられます。
- 再度根管治療を行なっても、予後が悪くなってしまうことがあります。このような場合は、外科的な治療で対応することがあります。
- マイクロスコープの使用にともなう一般的なリスク・副作用
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- 自費(保険適用外)での診療となり、保険診療よりも高額になります。詳細は歯科医師にご確認ください。
- 精密な治療を行なうための歯科用顕微鏡であり、焦点の合う範囲が狭いため、立体的な観察機器としては必ずしも適しません。治療内容によっては使用しない場合があります。